風雨にさらされ、旨みが深まっていきます。
漬物、おろし、おでんに風呂吹き、糀に漬けた大根青し、うっすら緑色の青首大根は
汁気が多くどんな料理にも使えます。
金沢生まれの源助大根は少し短めながら、甘くやわらか、煮くずれしにくく、おでんに最適です。
大根の種まきは8月上旬から9月上旬。
スイカの後作として砂丘地帯を中心に栽培しています。
暑い日には地表温度が50℃にもなる砂丘地は、冷涼な気候を好む大根にとって
苛酷な環境といえます。そのため生育不良となる年もありました。
昭和40年代後半、石川県農業総合試験場が開発した白いネット状の布「寒冷紗」で覆う
栽培法により、作柄は安定するようになりました。
今も夏に大根畑を訪れれば、畑はいちめん白い寒冷紗で覆われ、 夏の風物詩となっています。
鮮度の良い大根を出荷するため、収穫はまだ星空の見える午前2~3時の早朝から電気をつけて行います。
明け方のまだ寒い時間、朝露を浴びながら、1本1本大切に畑から抜き、空が白みだす頃、
冷たい水で大根を洗い、 箱詰めし、午後には市場にむけて出荷します。
源助大根から青首の総太り大根へ
石川の本格的な大根栽培は、昭和17年金沢市の篤農家・松本佐一郎氏の育成による
源助大根に始まります。
特産の源助大根は、おでんや大根おろし、ニシンとともに糀に漬けて大根寿しにも最適。
ただし沢庵漬には、やわらか過ぎて向いていないようです。
源助大根は、甘くやわらかく食味の良い品種ながら「す」が入りやすいため、
50年代以降は、「す」入りの遅い青首大根が中心となっています。
いずれも、ピンとした葉付きで、色白で、艶が良く、大きさの割に重いものが新鮮でおいしいものです。